舞い散る桜にサクラに重なった、君の面影が今も尚瞼の裏に焼きついて離れない。胸躍る入学式、あのときも確かこの春をしらせる暖かな風が取り巻く校門で、君の横顔を視界にいれた。3年経って、こんなにも大きな存在になるだなんてあのときは思ってもいなかったけれど。周りを見渡せば別れをおしむ友人たちの姿。親は親同士で話に花を咲かせている。自分だけそこにぽつりと立っているだけ。そう思うと、急に 別れ というものをしみじみと感じた。たとえば来週の今日。今のこの日を惜しむだろうか。それとも、清々したとため息をつくのだろうか。それとも、そんなことも頭から飛ぶほど次なる道に胸を躍らせているのだろうか。今日君と道をわかれて、新たなはじまりの月へと足を踏みしめる。 |
はじめて逢ったのは移動教室中の廊下。肩にのせられた手に振り返ると、一枚の紙切れを差し出す女に目を奪われた。初めてだった。こんな気持ちを抱いたのは。そのときはじめて知った同じクラスの彼女が、好きで好きでたまらなくなった。それから、彼女の名前を知った。英語が得意だということを知った。運動もできるが平泳ぎだけができないことを知った。玉子焼きが好きなのを知った。いつでも、誰にでも笑顔を振りまく彼女が愛しくてそして憎らしくもあって。どうしようもなく月日は3年も過ぎてしまった。とうとう別れというものを突きつけられる日がきたのである。 |
はじめて逢ったのは移動教室中の廊下。目の前を友達と歩く男の子から、ひらり と紙切れが舞い落ちるのを見た。拾い上げると、そこには雑な字で彼の名前が書かれていた。急いで駆け寄って肩を叩くと、振り返ってお礼を述べる彼に目が奪われた。初めてだった。こんな気持ちを抱いたのは。同じクラスなのは知っていたけれど、ただそれだけだった彼が、好きで好きでたまらなくなった。それから、彼の名前の読み方を知った。英語がだいの苦手だということを知った。スポーツがとてもうまいことを知った。あたしが作った玉子焼きを美味しいと言ってくれた。誰とも仲がよくて、いつもクラスの中心にいる彼が愛しくてそして憎らしくもあって。どうしようもなく月日は流れて3年も過ぎてしまった。とうとう別れというものを突きつけられる日がきたのである。 |
「んとこいかねーの?」 立ち尽くす俺の肩に、小学校から連れ添った友人が手を乗せた。ふとよみがえるいつかの記憶。もう3年も前の話。「面倒だから、」思ってもいない台詞。ただ恐れているだけだ。これが、と顔をあわせる最後になるのを、認めたくないだけ。「面倒って…ボタンくらいやってくればいいのにさ。」「古くさ」「ひっど」薄く笑って、こんなことももう無くなるのだろうか、と考える。急に肌寒くなった気がした。綺麗にそこへ居座るボタンを見下ろして、ため息をつく。こいつ一つを差し出すだけで、とこれから先の繋がりをつくることができるのなら…。そう考えて、やめた。ボタンひとつで何が変わるだろう。それに、はもう帰宅してしまったかもしれない。もう式がおわって大分たつ。「…マジで、いいのかよ」いいわけ、ないだろ。 |
「ねぇ…のとこいかなくていいの?」 桜の散る階段に腰掛けていた私の隣に、高校で知り合って3年間いつも一緒にいた親友が腰を下ろした。゛゛その名によみがえってくる3年前の記憶。彼と出会ってもう気づけば3年もたっていた。「…行けない、よ」彼とあえなくなるのが怖くて校門を出ることができない私。でも、会いに行く勇気もない。だって、くんとの別れを認めるようで、怖くて。「あんたねぇ…最後なんだよ!?ボタンくらい貰ってきなさいよ!」「む、無理だよっ!」慌てて首を振って友人を見やる。友人は 呆れたような、でも優しくて温かい笑みでこちらを見る。ああ、この優しい笑みとも、分かれなければならないのだろうか。急に、肌寒くなった気がした。組んだ手に視線をおろして、ため息をつく。ボタンを貰えば、くんとこれから先の繋がりを持つことができるだろうか。でも断られたら、嫌がられたら、きらわれてしまったら、どうしよう。「」怖くてたまらない。くんが大好きだから。「後悔してからじゃ 遅いんだよ、。」 |
|
|
好きだと言えないけれど
「これからも、よろし く、、」
「こっ…こちらこ、そ。よろしくね くん。」
別れの季節 はじまりの月
うちのガッコは男がボタンばらまいてたよーう。「誰か拾えー!」ってね笑(090319)