「ー!さん外で待ってんぞー!」
50人弱いる部員の中で1番に着替えを済ませ、は外で待つ彼女の元へ一目散に駆け出した。周りでは「相変わらずだなあ」だとか「羨ましい」なんていう言葉が飛び交っているけれど、あたしは羨ましいだなんて思ってあげない。なんであのこなんだろう。あたしのほうが可愛いし気が利くし、部活も一緒だからいつも一緒にいられるのに。何度もそう思ったけれど、が選んだのは結局あのこなのだからどうしようもない。何故、だとか、どうして、なんてものは 本人にしかわからないのだから。「――あれ、のやつ携帯忘れて行ってら…」部員の声にハッとして顔をあげる。部員の手元で揺れる黒い携帯電話には見覚えがあって、言わずもがなそれはのものだった。「あ…あたし、届けてくる!」半ば引っ手繰るようにして掴んだ携帯を、まるで割れ物を扱うかのように両手に握って部室をでる。があのこのことをどれだけ好きかなんて知らないし、知りたくもない。あたしはが好き。ただそれだけ。薄暗く、見えずらい足元に注意をはらいながら、まだ校内を歩いているであろうを追いかけた。
「じゃあ、俺たち帰ります。」 の声に顔をあげる。「失礼します。」いつもを追いかけるあたしの目は、人当たりの良い笑みで会釈をするあのこに向いていた。たしかに清楚で可愛らしい容姿をしてるし、(でもあたしのほうがずっと美人)小さくて女らしい。(だけどスタイルのよさは負けてない)それに、少しドジで天然。(あたしはあんなノロマと違ってマネージャーの仕事も完璧にこなせるのに!)なのに。ねえ、どうしてあたしじゃないの。どうして、どうしてどうしてどうしてどうして!
ああ、涙で、見えない。
|
(090807 もっと明るい話書くつもりだったのに…!先輩怖いよう(´;ω;`)…←)